社長貸付金②
ヤッーホー、皆さん、こんにちは!
急に寒くなって、今年は「秋」が感じられませんでしたが、皆さんはいかがでしたか?
最近、タワーマンション節税の規制案が、新聞等で報道されていますが現在の私の情報では、平成30年1月からの販売分(タワーマンションは20F以上)から見直しされる模様です。
なぜ、平成30年1月から規制されるかというと、固定資産税の評価替(3年に1回)の年に該当するからです。
どこまで、規制するかは現段階では不明ですから、また法案が通り次第、ご報告しますね!
タワーマンションに限らず、今まで色々な節税策が実行されてきましたが、それを課税庁が規制をかけるという「いたちごっこ」だな~っと、税理士として感じます。
もちろん、これからも相続税に限らず、節税商品や節税対策が登場するでしょうが、話題になる頃には規制がかけられる可能性が高いので、私自身は、この手の節税商品はクライアントには、リスク(否認)も加味した上でお話しはしますが、お勧めはしません。私見ですが、相続対策でいえば「信託」を使った節税がリスクがあると思います。
では、前回の社長貸付金について、ご説明していきますね。
この社長貸付金を相続財産として計上しなくてもOKなケースが以下の相続税基本通達205です。
貸付金等の元本価額の範囲
財産評価基本通達204の定めにより貸付金債権等の評価を行う場合において、その債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。→課税時期=被相続人の死亡日
(1)債務者について次に掲げる事実が発生している場合におけるその債務者に対して有する貸付金債権等の金額(その金額のうち、質権及び抵当権によって担保されている部分の金額を除く。)
①手形交換所(これに準ずる機関を含む。)において取引停止処分を受けたとき
②会社更生手続の開始の決定があったとき
③民事再生法(平成11年法律第225号)の規定による再生手続開始の決定があったとき
④会社の整理開始命令があったとき
⑤特別清算の開始命令があったとき
⑥破産の宣告があったとき
⑦業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を廃止し又は6か月以上休業しているとき
(2)再生計画認可の決定、整理計画の決定、更生計画の決定又は法律の定める整理手続によらないいわゆる債権者集会の協議により、債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等の決定があった場合において、これらの決定のあった日現在におけるその債務者に対して有する債権のうち、その決定により切り捨てられる部分の債権の金額及び次に掲げる金額
①弁済までの据置期間が決定後5年を超える場合におけるその債権の金額
②年賦償還等の決定により割賦弁済されることとなった債権の金額のうち、課税時期後5年を経過した日後に弁済されることとなる部分の金額
(3)当事者間の契約により債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等が行われた場合において、それが金融機関のあっせんに基づくものであるなど真正に成立したものと認めるものであるときにおけるその債権の金額のうち(2)に掲げる金額に準ずる金額
以上が「貸付金」を相続財産に計上しなくても、税務署がOKするケースです。ポイントは「課税時期の現況」で判断する事に十分注意して下さい。
具体的には、東日本大震災の日に被相続人が東京電力の株式10,000万株を保有していた場合、その時期の東京電力の株式は1株3,500円前後だったと思います。その後、原発の問題で、東京電力の株式は1株500円に下がった時がありましたが、相続税の株式の評価は、3,500円Ⅹ10,000株=3,500万円で評価されます。
じゃ、3,500円から申告期限までに3,000円も値下がりした1株=500円はどうしたらいいでしょうか?そうですね!物納すれば、3,500万円で相続税の支払いに充当すればOKです。
次回は、実務的にどうやって「貸付金」を減らすのかをご紹介しますね。土屋雅資