公正証書遺言とは
ヤッホー、皆さん、こんにちは!
師走に入り急にあわただしい日々になっています。
私は、前回のノロウイルスが治ったら、今度はインフルエンザになり、ヘロヘロ状態が続いています。
皆さんも、「健康第一」ですから、お気をつけ下さい。
では、今回は遺言の中で、最も優れている公正証書遺言について、ご説明しますね!
(1)公正証書遺言とは
公正証書により作成する遺言を「公正証書遺言」といいます。
公正証書遺言は、公証人が、遺言者と証人2人の面前で作成します。
公証人は、全国各地の公証役場で公正証書の作成等に携わる公務員です。公証人は、多くの場合、退職した裁判官や検察官がなります。
(2)作成の方法
公正証書遺言は、原則として公証役場に遺言者が赴いて作成します。公証役場は、全国各地に在ります。
遺言者が身体的理由などにより公証役場まで来られない場合、公証人に出張してもらうことができます。別途、出張費が必要です。
遺言書の作成準備について専門家(弁護士・司法書士・税理士等)に依頼した場合は、通常、公正証書作成も専門家が付き添います。遺言書の内容は、相続人となる予定の方に知らせても知らせなくてもどちらでもOKです。
(3)証人
公正証書遺言の作成には、証人2人の立会が必要です。
ただし、①推定相続人、受遺者や、②推定相続人、受遺者の配偶者や直系血族は、遺言書の作成の現場に立ち会うことができませんから、証人となることができません。
これらの人が遺言の作成に立ち会うことができないこととされている理由は、遺言に利害関係のある人が遺言の作成や内容に不当な影響を及ぼすことを避けるためです。
証人は、遺言者が知り合いに頼んで連れてくることも可能です。証人となってくれる人に心当たりがない場合や、知り合いに遺言の内容を知られたくない場合は、公証役場に依頼すると、証人を紹介してくれる場合があります。
(4)原本、正本、謄本
公正証書の作成当日に、遺言書の原本(公証人と署名、捺印のあるもの)、正本、謄本を1通ずつ作成します。原本は、公証役場で保管されます。
遺言者は実印と印鑑証明書、証人2人は認印でOKです。
正本は、遺言執行に必要となるため、遺言執行者(弁護士・司法書士・税理士等の専門家に依頼した場合は通常専門家が遺言執行者になります)に預けます。
遺言執行者は強制執行力があるため、相続人が反対しても、遺言の内容に従って、被相続人の不動産の「相続登記」が可能です。
この遺言執行者の指定が重要です。もし、遺言執行者の指定がされていない場合には、相続人全員の協議が必要で、結局は「争族」になります。
謄本は、遺言者ないしご家族が保管します。三者が同じ内容の文書を保管するので、紛失や棄損のおそれがありません。
(5)その他
公正証書遺言を作成する場合に、財産の価額に応じて報酬が上がります。
公正証書遺言は、家庭裁判所の検認の手続きが不要です。
平成元年以降に作成された公正証書遺言は、遺言者(被相続人)の死後には、全国の公証役場で検索が可能です。
(6)相続税法
相続人の全員の合意があれば、遺言と異なる遺産分割を行うことは、民法上も税法上も可能とされています。
ただし、遺言書を前提にした相続税の申告をした後に、遺言書に反する遺産分割を行った場合は、贈与税、または所得税の譲渡所得などの課税関係が発生する可能性に十分注意して下さい。
以上、公正証書遺言の作成にあたってのポイントをご説明しました。土屋雅資