遺言の無効
ヤッホー、皆さん、こんにちは!
私は、昨日、インフエンザの注射してきました。
いつも、クライアントの眼科の先生に注射してもらうのですが、今回は「腫れて痛い」です。皆さんも、早めの予防接種をお勧めします。
では、今回は、被相続人が残した「遺言」が無効だった場合をご紹介しますね!
当然、遺言が無効になれば、相続人間の話合いで、遺産分割することになります。
遺言が無効になる代表的なケース
1・共同遺言
民法は二人以上の者が共同で遺言を残すことを禁止しています。遺言に遺言者の意思が正確に反映されることを目的としており、代理も許されません。
他人の意思が介在している場合も、遺言は無効になります。
具体的には、夫婦で共同で遺言書を作成した場合等です。
2・遺言能力なし
認知症などで、遺言者の遺言能力がないときに残された遺言も無効になります。最近、このケースが急増しています。
精神疾患を持つ人も本来の意思を示すのは難しいので、遺言についての判断能力は著しく欠いているとみなされます。
有効な遺言を残すには、被相続人自体が生前に内容を理解する「意思能力=遺言能力」が必要です。
3・対象年齢未達(参考)
遺言を残せる遺言的確年齢は、15歳以上と定められています。15歳未満の方が遺言を残しても無効になります。実務上は、15歳で遺言を書く例は皆無だと思います。
民法は明治時代に作られた法律ですので、多分、その当時の日本人の平均寿命は、50歳ぐらいだったでしょうから、こんな規定があります。
4・錯誤無効
遺言は財産や身分関係に重大な影響を及ぼしますので、作成者には合理的な判断能力(遺言能力)が必要であるとされています。錯誤とは「勘違い」のことです。
これまでは、意思能力が認められれば遺言能力も問題なく認められる傾向にありました。しかし近年の判例では、一般的に意思能力が認められるだけではなく、遺言の内容を正しく理解できる能力まで認められるか慎重に判断する傾向にあります。
遺言内容が重大性や高額であれば金額を理解しているか、遺言作成の経緯や状況を把握しているか、他人による不当な干渉がないか、ということも判断基準となっています。
「自筆証書遺言」が無効になった判例
- 日付がない、日付印がない、特定できない日付である(吉日など)
- 遺言作成日より日付をさかのぼらせて書いた
- 氏名なし、氏名を他人が書いた
- 加除訂正の方法が正しくない
- 被相続人の自筆文書で残されていない場合
- タイプライター、またはワードプロで作成
- テープレコーダーに吹き込まれた、ビデオ録画に吹き込まれた
- 遺言書の全文を他人が代わって書いた
- 遺言者が指示して他人に遺言を書かせ、自分の遺言として確認し、署名押印
- 遺言書に、他人がタイプライターで打った不動産目録を添付
- 他人が行った加除訂正について、「変更部分のみ」無効
「自筆証書遺言」が有効になった判例
- 手が震えて字が書けない人のために、他人が補助して書いた場合は有効となった判例があります。他人が書いた下書きを遺言者が書き写した場合でも、遺言者に読解力があれば自書とされ、有効となりました。
- また、他人の代行でも押印については、入院中の遺言者の場合など遺言者の意思であった場合は有効となった判例がありました。
- 日付については、遺言者の還暦の日、銀婚式の日など日付が明確に判断できる場合は有効となりました。氏または名だけの記載であった場合も、遺言書の内容やその他の記載から確認できれば有効と判断されました。
「公正証書遺言」が無効になった判例
- 欠格者(証人・立会人の資格がない人)が立ち会った
- 遺言作成中、常に証人・立会人が二人以上立ち会っていなかった
- 証人二人のうち一人が欠格者であった
「公正証書遺言」の場合は、レアケースの場合のみ無効です。
遺言書の有効性を争いたい場合
遺言書の有効性を争う場合には、遺言無効確認訴訟(調停)を起こします。家庭裁判所に調停の申し立てをしたあとで、それでも解決しない場合は訴訟へと移行します。
実務上は「自筆証書遺言」が圧倒的に争いの対象になります。また「公正証書遺言」はまれに、無効とされた裁判例がありますが、圧倒的に「自筆証書遺言」で争族になる場合が多いのが実情です。
「公正証書遺言」の作成の際に、念には念を入れて、被相続人が生前に認知症でないことを証明するため、医師の診断書を作成してもらうのも一つの方法です。土屋雅資