なんちゃって税理士のブログ

税理士、宅地建物取引士、相続アドバイザー 土屋雅資のブログです。 相続税を中心に、お得な節税情報等を発信していきます。

相続人の使込み

ヤッホー、皆さん、こんにちは!

 

私は、20日、21日は、相続税のセミナーを受講していたのですが、講師の先生が風邪?で、声がガラガラになり大変そうでした~。

 

がっ、しかし私自身も昨日からノロウイルスになり大変な状態になってしましいました。ここでは、ノロウイルスの症状はカットしますが・・・。

 

皆さんも、ノロウイルスやインフエンザには、くれぐれも気をつけて下さい。

 

久々に、ノロウイルスで苦しんでいる時に、やっぱり「健康が一番大事だなー」と感じました。

 

では、今回は相続財産を相続人が使込みしていたケースをご紹介しますね。

 

 

相続人の使込み

 

 被相続人(父)と一緒に住んでいた相続人(長男)が無断で銀行預金等を引き出し、使い込んでしまうことです。相続人は長男と次男の2人だとします。

 

被相続人(父)が死亡する前に長男が、父の預金2億から、1億5千万(多額の出金)をしている!?

 

被相続人の死亡時の預金は5,000万円だけです。

 

このようなことが、後日、発覚することが、よくあります。

 

この場合、次男は、銀行から出金の際の資料を取り寄せ、何時、誰が出金したのかを調査する必要があります。

 

そのうえで、他の遺産も存する場合には遺産分割協議もしくは遺産分割調停において当該出金も考慮して遺産分割を行うことも考えられます。あるいは、端的に、出金額の法定相続分の返還を求めることもあり得ます。

 

  • 遺産の預貯金を長男が使い込んでいる・・・
  • 被相続人の預金を長男が勝手に引き出しされていた・・・
  • 遺産分割協議が終わった後に、預金の使い込みがあったことが分かった・・・

 

 

次男の請求権

 

 相続開始前に引き出した預金については、被相続人に無断で引き出したとして、被相続人が不当利得返還請求・不法行為に基づく損害賠償請求ができ、被相続人が死亡後は相続人がこれらの権利を相続することになります。

 

また、相続開始後に引き出した預金については、本来、相続開始で預金が相続人のものに一旦なるので、自分の取得分を超えて引き出した預金分は、不当利得返還請求・不法行為に基づく損害賠償請求ができます。

 

不当利得か不法行為という耳慣れない言葉が出て来ましたが、二重に請求できるというわけではなく、どちらか一方で請求が可能です。

 

それでは、両者で何が違うかですが、時効の期間が異なります。

  • 不当利得は行為の日から10年
  • 不法行為は損害及び加害者を知ったときから3年

 

 

証拠集め

 

次男は長男が使い込んだと疑っても、証拠が無ければ裁判所は相手にしてくれません。

そこで、使い込みを裏付ける証拠を収集する必要があります。

ここでは使い込みの責任追及のため、どんな証拠が必要となるかご説明します。

 

①戸籍謄本

まずは自分が相続人であることを明らかにする必要があります。

 

②銀行の取引履歴・銀行伝票

 実際に相手方がお金をおろしていることを明らかにします。また、払戻しのとき、誰が窓口で手続をしたのかが分かります。

 

③亡くなられた方の認知能力の分かるカルテ・介護記録・診断書

たとえば、重度の認知症であった場合は、預金の引き出しが全て無断だったということになるかもしれません。

 

他にも色々ありますが、代表的なものは以上です。ただし、相続人や弁護士でも②③は実務上は「個人情報保護法」等で入手困難な事が一般です。

 

 

手 続 

まずは、交渉で、長男に説明を求め、その説明が合理的かどうか、証拠があるかを確認します。

 

長男は、被相続人に頼まれて引き出し、被相続人のために使った、とか被相続人から贈与してもらったとか、色々言い訳をすることが多いです。「死人に口なし」です。

 

長男が説明をしなかったり、不合理な説明しかしない場合は、請求額を明確にして請求を行います。地方裁判所に訴訟を提起する必要があります。

   

特に、相続開始前の使い込みは3年以上前のことが普通ですから、時効の問題があるとして、長男が否定すれば不当利得返還請求(時効10年)で訴訟提起する方が一般的です。

 

実務上は、次男が弁護士に依頼して、1億5,000万円の請求をしますが、これを立証するのは、相当困難です。

 

理由は、裁判になった場合、次男から、「使込みを長男がやった証拠」が必要になり、これが証明できないと、裁判所は次男の請求を認めてくれないからです。

 

 

税務調査

 

最も強力な行政機関は、税務者です。税務署は、「質問検査権」を行使して、被相続人や、長男または、その家族の銀行・証券会社等の調査が行えるからです。

 

本来あるべき相続財産2億円が、5,000万円で申告されたら、1億5,000万円の相続財産計上漏れで、徹底的に調査します。次回は、長男の使込み財産1億5千万円の税務調査があった場合のお話しをしますね! 土屋雅資