未分割財産
ヤッホー、皆さん、こんにちは!
今年はインフエンザが、すでに大流行しているようですね~。
皆さん、予防接種はもうしましたか?
私は、来週の月曜日に予防接種、予約してあります。
今年は、寒暖差が激しいので、体調にお気をつけ下さいね!
今回は、相続税法で、遺産が分割されていない場合(未分割)をご説明しますね。
相続税の納税義務者
相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続人全員で被相続人の住所地の所轄税務署に申告し納税しなければなりません。
ただし、その遺産にかかる基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありません。
遺産にかかる基礎控除額→3,000万円+600万円×法定相続人の数
上記の基礎控除額より相続遺産額が超えてしまうと、超えた分について相続税を支払わなければりません。
また、遺産分割協議がまとまらないからといって、申告期限が延びることもありません。
相続税の計算
遺産分割協議がまとまらなくても、相続税の申告は必要です。遺産分割協議がまとまらない「未分割」の状態でも、相続税の申告の必要があります。
そのため、未分割の場合は、各相続人の方が法定相続分で財産を取得したものとして相続税を計算、申告と納税をすることになります。
いったん、仮の申告で相続税を納める、というイメージになります。
特例が適用できない場合
「未分割」での申告の場合、下記のような相続税の特例を適用することができません。
①小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、相続税の計算上、相続遺産に住宅や事業に使われていた宅地(土地)等がある場合には、一定の要件のもと評価額の相当な減額が認められている制度のことです。
これは自宅や事業用の敷地に相続税を普通に課税してしまうと、税金の額があまりにも多くなり居住や事業を継続できなくなってしまうことを回避する税制上の優遇措置です。
簡単に言うと、相続税を払うために住んでいる家や土地を売ることを避けるために、相続した土地の相続税評価額を80%または50%、評価減する制度です。
例えは、被相続人の自宅が1億円(路線価=相続税評価額)で330mなら、80%の評価減(8,000万円)が適用され、自宅の評価は2,000万円になるという制度です。
この特例は原則として申告期限までに、遺産分割が成立していないと適用できません
小規模宅地の特例の適用を受けるには、色々な要件がありますから、これは次回以降、ご説明しますね!
しかし、この小規模宅地の特例を利用して、相続税を支払う必要がなくなったときでも相続税の申告は必要になります。
② 相続税の配偶者の税額軽減
配偶者が相続した財産に関しては、Ⅰ・配偶者の法定相続分、または、Ⅱ・1億6,000万円かいずれか多いほうの金額までは相続税が課税されません。
例えば、被相続人=夫が6億円(基礎控除後)の遺産があった場合に、相続人が妻=配偶者と長男の2人の場合、妻=配偶者は3億円(6億×1/2)まで無税です。
やはり、この特例も遺産分割が成立していないと適用できません。
③ 物納
相続税については、納税資金がない場合、相続財産そのもので相続税を支払う「物納」が認められています。
原則として、税金(法人税・所得税・消費税・贈与税・相続税等)は金銭一括納付ですが、相続税だけ物納(お金の代わりに、被相続人から相続した土地を渡す)が認められています。
江戸時代の年貢(お米で悪代官に払う)と同じだと考えて下さい。
遺産が未分割の場合、相続人全員の共有財産とみなされ、その共有者全員が持分の全部を物納する場合でなければ、物納することができません。
④ 非上場株式等の相続税の納税猶予
被相続人が同族会社の社長で、子供に事業を引き継がせるための特例制度です。
注意点
特に、上記①小規模宅地等の特例、②配偶者の税額の軽減の特例は、多くのケースで相続税額を大きく軽減することになる特例ですので、これらの特例が使えないことにより、いったん納める相続税額が多額になってしまうため、納税資金の手当てなど、注意が必要です。
未分割で申告する場合は、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しましょう。これは、提出するだけでOKです。
そうすることで、申告期限から3年以内に分割された場合に、あらためて小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の特例の適用を受けることができます。
特例を使うことで既に納付した税額よりも税額が低くなる場合、分割が行われた日の翌日から4カ月以内に「更生の請求」を行うことで、既に納付した相続税の還付を受けることができるのです。
もし、3年以内に遺産分割協議がまとまらなかった場合でも、その3年を経過する日の翌日から2カ月以内に、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出することができます。
なお、単に相続人間との不仲により分割協議がまとまらないとかいう理由だけでは「やむを得ない事情」には該当せず、訴訟や調停などの裁判上の手続中であることなどの証明等が必要であり、「申告期限後3年以内の分割見込書」よりハードルはかなり高くなっているので十分に注意して下さい。
まとめ
以上のように、分割協議がまとまらない場合でも、一旦相続税の申告をし、分割協議がまとまった後で納めた税額を取り戻す、というステップが用意されています。
ただし、一旦、特例を使わずに相続税を計算するため、ひとまず多額の納税が必要となってしまうという側面があります。実務上は、特に被相続人の遺産が「不動産」が多い地主の場合は、資金繰りが大変になります。
遺産分割協議でもめることのないよう、被相続人が生前に公正証書遺言を作成あらかじめ作成しておくことが、「争族」を回避する手段だと思います。土屋雅資