寄与分
ヤッホー、皆さん、こんにちは!
私は、昨日は、1年ぶりの胃カメラ検査しましたが、異常ありませんでした。良かったー。
皆さんも健康には気をつけて下さいね!
今回は寄与分についてご説明しますね。
寄与分とは
相続人の中に、被相続人の生前にその財産の維持や増加に特別な貢献をしたということで、その貢献に応じた金額が相続分に加算され、他の相続人よりも多く遺産を受け取れる者がいる場合があります。
この加算分を寄与分、貢献した相続人を寄与者といいます。
共同相続人間の公平を図るための制度です。
前回の「特別受益」と考え方は同じです。
簡単にいうと、相続人のなかに被相続人の財産の維持・増加に貢献した者等がいる場合、相続人間で不公平感が高くなる事があります。
このような場合の調整規定が寄与分であり、寄与分に該当すれば、その貢献度(寄与分)は相続財産から差引いて各人の相続分を計算することになります。
特別の寄与に該当するケース
上記いずれかに該当すれば、寄与分として遺産から差引いて各人の相続分を計算することになります。
具 体 例
無給で家業に尽くしたとか、自腹で親(被相続人)の医療監護費を負担したとか、夫名義で購入した住宅のローンを働いていた妻が半額負担した等です。
要するに、複数の相続人の中で、他の相続人と違って被相続人のために特別の貢献をして、その結果「被相続人の財産の維持または増加に特別な寄与をした」と認められれば、その分を寄与分として相続分に加算できるということです。
寄与分は親の介護をした子に対しても認められます。その介護が無ければ、親は自分の預金などを取り崩して、高額な有料介護サービス(有料老人ホームや24時間の付き添い介護など)を利用せざるを得なかった場合などです。
介護した子は、有料サービスの利用による財産の流出を防ぎ、親の財産の維持に寄与したとみなされます。
ただし、共同相続人間の相続分の調整法であるために、法定相続人以外の人にはこの制度は適用されません。
相続人以外の人の貢献(例えば息子の嫁など)に対しては、被相続人が遺言で遺贈を指定するなどして報いるほかはありません。
計 算 例
例えば、2次相続(母が死亡し、父が次に死亡した場合)相続人は子供3人兄弟で、長男は父親の稼業である床屋を中学卒業後、ずっと無給で手伝い、1,000万円の貢献をした、という場面で父親が亡くなった時です。遺産は7,000万円だったとしましょう。
次男、三男としては、長男が稼業を長年無給で手伝い、親からは一銭ももらっていないと考えれば、長男の1,000万円程度貢献を認め、今回の相続では取り分が少なくなるのは仕方ないな、と考えます。(実務上は、次男・三男は、長男の寄与は全く考えずに3人均等に相続するのが当然だと考えています。)
他方、長男からすれば、長男の貢献分1,000万円分は余分に相続するのが妥当だと考えています。
こんな場合、財産はどう分けるべきでしょうか?
このケースは「長男の寄与分が認められた」と仮定すれは
具体的に数字を入れてみると
- 7,000万円-1,000万円=6,000万円
- 6,000万円÷3人=2,000万円
- 長男は、2,000万円+1,000万円=3,000万円、次男と三男は各2,000万円で、合計7,000万円を各人が相続します。
問 題 点
寄与分を認めるか認めないか、そして認めるならいくらになるのかの決定は、遺言書に指定が無ければ相続人同士の話し合い(遺産分割協議)によりますが、話がまとまらない場合は、寄与者が家庭裁判所に審判を申立てることで決めてもらいます。
また、相続人であっても寄与者として認められるためには、「被相続人の事業に関する労務の提供または財産の給付」や「被相続人の療養監護」などにより、「被相続人の財産の維持または増加につき、特別な寄与をした者」でなければならず、ただ一所懸命介護をしたとか、精神的に支えたということだけでは、寄与分は認められません。
長男が1人暮らしの母親に、月10万円の仕送りをしているような場合は、「扶養義務の履行」とされ「特別の寄与分」とは認められにくい。
長男が資金を出して、有料老人ホーム=介護型終身老人ホームに、1人暮らしの母親を入居させたような場合は、「特別の寄与分」とは認められやすい。
ちなみに、東京で、この様な老人ホームに入居する場合は、1人当たり1億円程度の入所一時金が必要です。また月々の入居費用も50万円~100万円程度は必要になります。
税法上の注意点は、長男が1億円の入所一時金を負担すると、母親に贈与税(みなし贈与)が課税されますので気をつけて下さい。
まとめ
- 寄与分の認定は相当ハードルが高い。(認定されにくい)
- 寄与分は、相続人のみに認められる。(実際に介護した長男の嫁は無理)
- 稼業従事型の寄与分の認定は現実として困難である。
- 介護による寄与は「特別の寄与」に該当しない可能性が高い
以上、前回と今回で「特別受益」と「寄与分」をご説明してきました。特に「寄与分」の認定は家庭裁判所では、非常に認定される可能性が低くなります。いずれの場合も、被相続人が生前に「遺言」でフォローしておく事が大切です。特に、同居していた長男の嫁に世話になった場合には、「遺言」でしか、感謝の気持ちと財産を遺贈させることが出来ないので、配慮しておくことが大切です。 土屋雅資