相続人に認知症の方がいる場合
ヤッホー、皆さん、こんにちは!
横浜は、朝から冷たい雨がふって、真冬並みの寒さです。
私は、今朝からホカロンをお腹に貼って、防寒対策していますが、メタボ対策は一向に進展がありません~。
では、今回は相続人の中に認知症の方がいる場合をご紹介していきますね。
相続税の申告
例えば、父親=夫が死亡し相続が開始された場合には、母親=妻(配偶者)と、長男、次男の3人が法定相続人なります。
相続税の基礎控除=3,000万円+600万×3人=4,800万円超であれば、相続があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に被相続人の居住地の所轄税務署に、相続税の申告が必要です。
また基礎控除以下であっても、下記の①②を適用して基礎控除以下になった場合には、相続税の申告が必要ですから注意して下さいね。
- 配偶者の税額軽減特例→「遺産総額×法定相続分」と「1億6千万円」大きい金額
- 小規模宅地の特例→「居住用330mまで80%」「事業用400mまで80%」「貸付事業用200mまで50%」の評価減
相続税法は申告期限(被相続人の死亡日から10ヶ月)までに、遺産が未分割でも、法定相続分(この場合は妻=1/2、長男=1/4、次男=1/4)に従って相続税を計算し、申告期限までに相続税を納付しなければなりません。
但し申告期限までに「申告後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、分割の日の翌日から4ヶ月以内に所轄税務署に対して、上記1,2特例を適用して相続税の還付請求ができます。これを「更正の請求」といいます。
認知症の相続人がいる場合
たとえば、上記のケースで母=妻も高齢で、認知症になり判断能力を欠いている場合、妻自身が有効に相続手続きを行うことはできません。
妻の判断能力が衰えているのに、ご本人の知らないうちに勝手に相続手続きが進んでしまっては大変です。オレオレ詐欺より悪質です!
遺産分割は法律行為ですので、これをするには判断能力を有していることが必要となります。判断能力を欠いた方と遺産分割協議を行っても無効になります。
- 遺産分割協議を行うには、全相続人に意思能力が必要です。
成年後見制度を利用
成年後見制度は、認知症などの理由で判断能力を欠いた方が財産面で不利益を被らないように保護・支援する制度です。
そこで認知症などで判断能力を欠いた方が相続人にいる場合、まずは家庭裁判所に成年後見人の選任申し立てを行い、後見人が選任されてから後見人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行う流れとなります。
すなわち後見人(妻=母親の代理人)、長男、次男の3人で話し合って、皆が合意した上で遺産分割協議書を作成ことです。
この手続きを経て、不動産の相続登記や財産の名義変更などができるようになります。
後見人が選任されるには、判断能力を欠いた方の医療的鑑定などが必要な場合もあり、選任されるまでに時間がかかりますので注意が必要です。
- 意思能力がいない相続人には成年後見人を選任してもらう。
対 策
万が一、母が重度の認知症だった場合に、このように後見人を選出することで、遺産分割協議を進められるので覚えておいて下さい。
後見人を立てたくない場合には、父親に生前に遺言書(公正証書遺言が絶対お勧めです)を残してもらう手段もあります。
公正証書遺言であれば、他の相続人の遺留分に反しない限り、妻の権利が保護されるため仮に妻が認知症であった場合でも大丈夫です。
- 遺言があれば、遺産分割協議を行う必要がない。
以上、少子高齢化が急速に進む、我が国の現状を考えさせられます。土屋雅資