消費税・簡易課税
ヤッホー、皆さん、お元気ですか?
今回は「簡易課税制度」をご説明しますね!
簡易課税制度を選択する場合は適用要件を注意して下さい。
年間売上が5,000万円以下の小規模事業者が選択可能な制度です。
簡易課税制度
簡易課税制度とは、実際の課税仕入れ等を無視して、課税売上高から仕入税額控除を計算する方法です。
目的は「消費税計算の簡便化」です。
適用要件
下記1と2のいずれかの要件を満たす事業者です。
- 基準期間(2年前)における課税売上高が5,000万円以下。
- 「簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署長に提出する。
具体的計算
事業者が一種類のみの営む場合の「仕入税額控除」は、下記の表の「第一種事業~第六種事業」の「事業区分」に掲げる各仕入率を掛けて計算します。その金額を、課税売上に係る消費税額から控除します。
- (株)ツチヤ商事(小売業=コンビニ)で当期の課税売上高が2,160万円(税込)の場合
①課税売上に係る消費税・・・160万円
②第二種のみなし仕入率・・・・80%
③①160万円×(100%-②80%=20%)=32万円(納付税額)
簡易課税制度の事業区分の表 |
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事業区分 |
みなし仕入率 |
該当する事業 |
第一 |
90% |
卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。 |
第二 |
80% |
小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)をいいます。 |
第三 |
70% |
農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。 |
第四 |
60% |
第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。 |
第五 |
50% |
運輸通信業、金融・保険業(注)、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。 |
第六 |
40% |
不動産業 |
メリット
①人件費率が高い場合
簡易課税の方が節税になるのは、「実際に支払った消費税」より「みなし仕入率で計算した支払った消費税」の方が多いケースです。具体的には、商品の仕入れがなくて人件費率が高い業種がそれにあたります。例えばソフトウェアの制作会社等です。なぜなら人件費(給与・賞与)は消費税がかからないので、実際に支払った消費税が少なくなるからです。
②事務処理の軽減
簡易課税は事務処理が軽減されることも大きなメリットです。原則課税の場合は、実際に預かった消費税と実際に支払った消費税の両方を計算しなければなりませんよね。それに比べ簡易課税は、預かった消費税は課税売上高のみを計算しておけばよいので事務処理がとても簡単です。
③みなし仕入率
簡易課税の計算で使用するみなし仕入率はなぜ業種別に分かれ、パーセンテージも異なってくるのでしょうか。それは業種別の特徴にそって、簡易ながらできるだけ「実際の支払った消費税」に近い金額になるよう計算するという趣旨です。
例えば卸売業はみなし仕入率が90%ともっとも高いですよね。卸売業は仕入れた商品をそのまま小売店に販売し、仕入れた金額に自社の手数料などを上乗せして利益を得ています。よって原価率も高くなるはずで、薄利多売の商売です従って、売り上げの際に入金される預かった消費税が多ければ、仕入れの際に出金する支払った消費税も多額になるので、みなし仕入率が高い率になります。
逆に不動産業はみなし仕入率が40%と低いですよね。これはサービスを提供する事業が店舗・倉庫等の不労所得(働かなくても不動産が稼いでくれる)で、仕入代金がほとんど発生しないので、みなし仕入率が低い率になっています。
デメリット
設備投資を行うなど、課税仕入れが多額になり、「原則課税制度」で計算した場合には、消費税の還付が受けられるケースでも、簡易課税制度を選択している場合には、残念ながら消費税の還付は受けられません。
以上、「簡易課税制度」の基本的な仕組みです。実務では、一つの会社で複数の事業を営んでいる場合もありますから、上記の「簡易課税制度の事業区分の表」の「第一種事業~第六種事業」を間違えないように注意して下さいね!土屋雅資