法人税・損金・減価償却①
ヤーホー、皆さん、こんにちは!相変わらず残暑が厳しいですね~。くれぐれも熱中症には気をつけて下さいね。台風も3つも発生しているのでゲリラ豪雨にご注意して下さい。今回から「所得税」でご紹介した「減価償却」をもう少し詳しくご説明しますね。
減価償却とは?
土地は購入してから何年たっても、法人税法上はその価値が下がった場合でも所有している限りは土地の購入時の価額を貸借対照表に計上します。これを取得減価主義といいます。自動車などは、取得後6年程度の耐用期間が過ぎると、会計上は価値がなくなってしまいます。その場合、自動車の取得価額(例えば120万円)は、自動車の使用期間(例えば6年間)にわたって、毎年少しずつ費用として認識すべきだということになります。。このように、経年によってその価値が下がっていく固定資産について、毎年その資産計上額を少しずつ費用処理していく経理処理が、減価償却です。減価償却は、固定資産の利用期間にわたって、取得価額を費用として各事業年度に配分する手続です。決算にあたっては、固定資産の減価償却費を計算し、費用として計上するとともに、固定資産の簿価を減ずる処理を行うことが企業会計上は求められています。自動車の場合には120万円÷6年=毎年20万円損金算入=減価償却費(定額法)として損金経理する事です。これを受けて、法人税法においても、一定の条件を満たす減価償却費についは、損金算入が認められています。
減価償却の対象となる資産
(1)有形固定資産
1.建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備など)
2.構築物(ドック、橋など)
3.機械及び装置
4.船舶
5.航空機
6.車両及び運搬具
7.工具、器具及び備品
(2)無形固定資産
1.鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。)
2.漁業権(入漁権を含む。)
3.水利権
4.特許権
5.実用新案権
6.意匠権
7.商標権
8.ソフトウエア
9.営業権(のれん)
これらの資産であっても、棚卸資産は、減価償却資産に該当しません。自動車メーカーが自社製品の機械を、完成から販売するまでの期間について減価償却するということはないのです。事業の用に供していない資産も減価償却資産に該当しません。最新鋭の機械を導入したものの、使用方法が分からないため全く利用されず工場の隅でほこりをかぶっているという場合に、その機械は減価償却の対象とならないのです。
10万円未満なら消耗品費(経費・損金)
- こまごまとした資産まで減価償却資産として管理するのは会社業務の実態にそぐわない面があります。そこで、資産の取得価額が10万円未満の少額な減価償却資産については、使用し始めた時点で、その取得価額の全額を損金算入することができるとされています。 多くの会社では、10万円未満の少額減価償却資産を取得した場合には、「消耗品費」など費用の勘定科目を用いて、一時の損金として経理処理しています。
- 中小企業者については、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、使用し始めた時点で、その取得価額の全額を損金算入することができます。
- 取得価額が10万円(30万円)未満であるかどうかの判定は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。使用可能期間が1年未満の減価償却資産も、事業の用に供した事業年度の一時の損金として処理できます。
- また、取得価額20万円未満の減価償却資産については、一括償却資産として、3年間で償却する方法を選択できます。もし、会社が取得価額10万円未満の減価償却資産も、即時費用化していない場合には、これも一括償却資産に含めて3年間で償却することができます。
- 一括償却することとした場合、残存価額をゼロとして償却することになりますので、通常の減価償却を行うよりも損金として処理するスピードは速まります。 また、期中に取得・事業供用開始した資産について、償却費を月割り計算することがありませんから、この点でも損金算入できる償却費は大きく計算できます。 その反面、償却が完了する前に、対象となる資産を除却しても、除却損を損金算入することは税務上認められず、3年間の均等償却を続けていくことになります。
中小企業の損金算入
(1)適用法人 |
青色申告の資本金1億円以下の中小法人 |
(2)適用要件 |
①事業供用した減価償却費 ②取得価額が30万円未満 |
(3)経理要件 |
事業供用年度に損金経理 |
(4)限度額 |
年間300万円まで損金算入OK |
以上、ますは減価償却の意味と上記の中小企業の損金算入(300万円以下)は是非覚えておいて下さいね!次回は「修繕費」と「資本的支出=資産計上して減価償却」の区分をお話ししますね。
土屋雅資