なんちゃって税理士のブログ

税理士、宅地建物取引士、相続アドバイザー 土屋雅資のブログです。 相続税を中心に、お得な節税情報等を発信していきます。

法人税・損金・過大役員報酬

ヤーホー、皆さん、こんにちは!私はオリンピック開催に高校野球にテレビにくぎ付け状態です。外は灼熱で10分も歩いたら熱中症911ですね!では、今回は前回に引き続き法人税法の「役員」の「給与・賞与」・についてご説明しますね。

 

役員賞与は原則として損金不算入

例外として、使用人職務役員(例えば、取締役営業部長という肩書き)に対し、使用人としての職務に対する賞与を、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合に、損金算入が認められるというものです。 取締役になっていても、経営の仕事に特化することなく、営業部長や経理部長としての仕事を併せて行っている人が会社にはいるものです。このような人について、営業部長や経理部長の仕事に対する賞与は、他の使用人に対する賞与と同様に損金算入を認めようというものです。

使用人兼務役員に該当する役員は限定されています。

  1. 社長、専務取締役、常務取締役や理事長などは、使用人兼務役員になれません。
  2. 役員が、部長や課長などの使用人としての職制上の地位を有していることが必要です。その上で、常時使用人としての職務に従事していなければなりません。
  3. 同族会社の役員については、一定の持株基準に該当する場合、使用人兼務役員になれません。
  4. 他の使用人に対する賞与の支給の状況等に照らして、使用人としての職務に対する賞与として相当であると認められる金額に限って損金算入できます。

過大な役員報酬は損金不算入

  役員報酬について、不相当に高額な部分の金額は損金算入が認められません。では、いくら以上の役員報酬が「不相当に高額」とされるのでしょうか?これについては、判断基準が2つあります。形式基準と実質基準の2つです。いずれか比較して高い方が「役員給与の損金不算入」として法人税「別表4」で加算となります。会社は「役員報酬」として経費計上しているが、法人税法上は経費として認めないよ(損金不算入)となります。

 

①実質基準

  • 役員の職務の内容・会社の収益・使用人に対する給料の支給状況
  • 事業規模が類似する同業他社の役員報酬の支給状況

 上記の条件に照らし、役員報酬として相当であると認められる金額以内は損金算入OKです。これを「社会通念上相当と認められる金額」といいます。 

常勤の役員について、使用人と大差ない役員報酬を支給している会社であれば、特段の問題は生じません。ところが、中小企業の中には、オーナー社長の家族が名目上の役員になっているケースがあります。儲かっている会社は、法人税税負担の軽減を狙って、所得を分散させるのです。このような場合には、職務の内容を勘案して「社会通念上相当と認められる金額」実態にあった役員報酬しか損金算入は認められないでしょう。

 

 ②形式基準

もう一方の形式基準ですが、これは役員報酬を株主総会などで決議しておくことが求められます。従業員の賃金と異なり、取締役は会社と委任関係にあるため、非常によく頑張ってくれる取締役に、ご褒美として支給されるのが役員報酬です。役員報酬については、定款の規定か株主総会の決議が無ければ、これを支給することはできません。役員報酬の額について株主総会の決議が無い場合、役員報酬を会社が支払っても、これは損金算入されません。

 通常の会社では株主総会で役員報酬の額を決議することになります。通常は、役員報酬の上限額を決議しますので、この上限額に少し余裕を持たせておきます。翌年以降も、株主総会で決議した上限額に収まるようでしたら、改めて決議しなおす必要はありません。

 

具体例

当期の社長1,400万円、専務1,000万円、常務900万円の支給をした場合に、株主総会で決定した支給限度額は訴額3,000万円で、常務の報酬はその実態からみて700万円が適正であるとします。この場合に①実質基準では、900万円―700万円=200万円が過大報酬になります。一方②形式基準では、(1,400万円+1,000万円+900万円)-3,000万円=300万円が過大報酬になります。

 

以上、役員報酬が過大である場合には、その過大部分は損金不算入になりますので、毎期の事業計画を作成して、役員報酬は①所得税・住民税・社会保険料と②法人税・法人住民税・県民税・事業税を考慮して税理士や社会保険料士の意見も聞いて「役員報酬」を決定するのがベストだと思います。土屋雅資