なんちゃって税理士のブログ

税理士、宅地建物取引士、相続アドバイザー 土屋雅資のブログです。 相続税を中心に、お得な節税情報等を発信していきます。

馬券裁判(一時所得・雑所得)

ヤーホー、皆さん、こんにちは!今回は「競馬の馬券」が、はずれ馬券を含めて必要経費に該当するかどうか?を裁判で争われた事例をご紹介しますね!

「一時所得]の方が「雑所得」より、税金は安くなります。下記の計算式をみると、「一時所得]は50万円特別控除とさらに、所得が1/2になるからです。

今回ご紹介する「当たり馬券の収入」は、「一時所得]に該当せず「雑所得」になる場合もあるという判決です。

じゃ何が論点かは、今までは、当たり馬券(万馬券)の購入馬券だけが必要経費として認められ、はずれ馬券の購入費は必要経費にならいという考え方でした。結論は、一定の要件下で「はずれ馬券」も必要経費に該当するという判決を最高裁が示しました。

 

一時所得の計算

一時所得=(総収入金額-必要経費-50万円)×1/2

 

雑所得の計算

雑所得=総収入金額-必要経費

 

馬券収入は一時所得?

馬券収入は今まで『一時所得』と解されていました。雑所得ではなく、はずれ馬券の購入費用を経費として控除することはできないと考えられていました。しかし、昨年の最高裁の判決で一定の場合には『雑所得』にもなり得ることになりました。

 

馬券収入に係る最高裁判決

競馬の馬券の購入を機械的、網羅的、大規模に行っており、かつ、そうした購入を実際に行っていることが客観的に認められる記録が残されているなどの場合において、

  • 計算上控除すべき金額は的中した馬券の購入金額に限られるか否か
  • 競馬の馬券の 払戻金は一時所得と雑所得のいずれに該当するか

が争われていた裁判で、最高裁平成27年3月10日判決は、競馬の馬券の払戻金はその払戻金を受けた者の馬券購入行為の態様や規模等によっては、一時所得ではなく雑所得に該当する場合があり、その場合においてははずれ馬券も所得金額の計算上控除すべき旨判示しました。

  

最高裁の判断

  1. 所得税法上、営利を目的とする継続的行為から生じた所得は、一時所得ではなく雑所得に区分されるところ、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否かは、文理に照らし、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが相当である。
  2. 被告人が馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの本件事実関係の下では、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たる億単位取引)。
  3. 雑所得については、必要経費に当たる費用はより収入金額から控除される。本件においては、外れ馬券を含む一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するのであるから、当たり馬券の購入代金の費用だけでなく、外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金の費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するということができ、本件外れ馬券の購入代金は必要経費に当たる

例えば皆さんが10枚(1,000円)買った馬券が、偶然に万馬券で1枚(100万円)が当たった場合は従来通り「一時所得」ですから、「1,000,000円-100円-500,000円)×1/2=249,950円が所得になりますからね! 土屋雅資